会長あいさつ
東北大学 多元物質科学研究所 虻川 匡司
2020年4月より木村真一会長の後任として、2020-2021年度のVUV・SX高輝度光源利用者懇談会(VSX懇談会)会長を務めさせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
VSX懇談会は、東京大学が建設するVUV・SX高輝度光源施設の建設協力ならびにその利用研究計画に関わる情報交換の円滑化を図るとともに、会員相互の交流の促進を図り、放射光科学の発展に寄与することを目的とし、1996年に設立されました。残念ながら、この高輝度光源計画は、2005年10月に中止になりましたが、東京大学に放射光連携研究機構が設置され、2009年、SPring-8に東京大学物質科学アウトステーションビームラインBL07LSUが建設されました。そして、本ビームラインにおける共同利用の支援がVSX懇談会の主たる活動範囲になっています。その後、放射光連携研究機構は、2016年12月に東京大学放射光分野融合国際卓越拠点として再編されています。BL07LSUは「時間分解軟X線分光実験ステーション」、「三次元走査型光電子顕微鏡ステーション(3D nano-ESCA)」、「超高分解能軟X線発光ステーション」とフリーポートで構成されており、スタッフの皆様のご努力、会員の皆様の活用により、国内の最先端SX分光研究を牽引しております。
加えて、待望の3GeV高輝度光源の建設が始まり2023年には運用開始の予定です。現在、初期ビームラインデザインが検討されており、東京大学放射光分野融合国際卓越拠点でもBL07LSUで培った技術を元に新しい光源の利用が検討されています。本会の当初設立目標であったVUV・SX高輝度光源がようやく実現し、世界各国の高輝度光源に伍する最先端研究が可能になると考えております。ただし、3GeV光源の利用を考えたときに他分野の方にVUV・SX領域の有用性が想像以上に認識されておりません。特に産業界ユーザーの方には顕著です。今後、会員皆様と共に高輝度VUV・SX光の素晴らしさをより多くの方に伝えて、会員の裾野を広げていくことがわれわれの重要なミッションと考えております。ご協力を何とぞよろしくお願い申し上げます。
最後に現在の大変な状況についてコメントいたします。ご存じのように新型コロナウィルス感染防止のために、殆どの放射光施設では共同利用が停止、もしくは利用が大幅に制限されている状況です。この制限は、長期に及ぶことが予想され、今後の会員皆様の研究スケジュールに大きな影響を及ぼすことは間違いありません。皆様の健康にも関わる未曾有の状況の中、VSX懇談会として何ができるか、何をすべきか、是非皆様のお力をお借りして考えていきたいと思います。ご意見がありましたら是非当会までお知らせ下さい。どうぞお願いいたします。
2020年4月28日